大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1144 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大井尚俊上告趣意について。

原審の認定事実は、原判決挙示の証拠によりこれを肯認するに足るものと認めら

れる。第一審公判調書によれば、所論Aの仕入帳及び検察官に対する被告人の供述

調書については、被告人及び弁護人において何等の制限も付せずこれを証拠とする

ことに同意した旨の記載がある。そしてこの調書の記載に対して刑訴五一条による

異議申立がなされたこと、また右仕入帳及び供述調書の証拠調に対しても同三〇九

条による異議申立がなされたことを窺い得べき証跡は記録上存在しない。従つて被

告人及び弁護人が前示仕入帳及び供述調書を所論のような制限附の趣旨において証

拠となすことに同意したものとは認められない。されば第一審判決が所論の証拠を

事実認定の資料に供したからとてこれを目して違法ということはできないのである。

論旨第一点の所論は唯形式上違憲を云為するだけで、その実質は単なる訴訟法違反

の理由なき主張であり、また論旨第二点の所論は事実審の裁量に属する量刑の不当

を主張するに過ぎないのであり、いずれも、刑訴四〇五条所定の上告適法の理由と

ならない。しかも本件は同四一一条により職権を発動して原判決を破棄しなければ

ならない場合とも認められない。

よつて刑訴四一四条三八六条一項三号に従い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二五年一一月三〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 澤 田 竹 治 郎

- 1 -

裁判官 齋 藤 悠 輔

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!